だんだんと暑くなるこの時期。
人の体温も同時にぐんぐんと上昇していき、「気がつけば、熱中症になっていた!」なんてことがあるだろう。
そのまま放っておくと、あっという間に死んでしまう可能性もあり、とても厄介な症状だ。
そこで、熱中症になってしまう原因や症状、その治療方法について紹介する。
目次
熱中症になる原因は2つ!
熱中症になる原因の多くは、炎天下の中でのスポーツや仕事などの作業し続けることでなるが、主な原因は、「2つ」ある。
それが、「水分と電解質」と「体温調節機能」だ。
本来、人の身体の中は、太陽による熱い陽射しや蒸し暑い状態の中に居続けると、熱がこもるようになり、このこもった熱を追い出すのに、2つの働きが作用することで身体の中の温度が保たれる。
けれど、炎天下に長時間、居続けてしまうと、この2つの働きが作用しなくなる。
なぜ、「この2つの働きが作用しなくなるのか?」について、順に説明していくとこんな感じだ!
水分と塩分が大量に失われている!
人は、暑い環境に居続けると、汗をいっぱい出すことで、体温を調整している。
そのため、汗を大量に出し、作り出すためには、以下の要素が必要とされている。
【汗を作り出す要素】
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中でも、電解質には、「ナトリウム」や「クロール」、「カリウム」が含まれていて、「ナトリウム」と「クロール」は、二つに合わせると「塩分」になる。
つまり、汗を出すためには、欠かせない要素ともいえる。
もちろん、この電解質や水分が、体内の中で不足すれば、汗を出すことができなくなるので、身体の中の熱を逃がすことができなくなってしまうんだ。
体温調節機能が機能しなくなる!
もう一つが、「体温調節機能」だ。
まず、体温調節機能というのは、汗の発汗を促し、人の体温を一定に保つために調整される機能のことでどんな人にも存在している。
けれど、この体温調節機能は、暑い環境に長く居続ければ、「体内の水分」や「塩分の不足」などによりやがて機能しなくなる。
分かりやすく言えば、「汗を出したくても出すことができない状態になる」ということだ。
もちろん、この影響で身体の熱がさらにこもり、熱中症の症状がより進行することにも繋がるわけだ。
次は、熱中症の詳しい症状をみていこう。
熱中症とは4つの症状の総称
熱中症には、「熱失神」「熱疲労」「熱けいれん」「熱射病(日射病)」と呼ばれる「4つの症状」がある。
それぞれの症状や起こりうる発生状況については、以下のとおり。
名称 | 症状 | 発生状況 |
熱疲労 | ・頭痛。 ・めまい。 ・吐き気。 ・脱力感。 ・脱水症状。 | 脱水症状と血圧の急激に低下した場合。 |
熱けいれん | ・ふくらはぎの筋肉や腹部の痛み。 ・顔面蒼白。 | 大量の汗をかいた後に水ばかり飲んで塩分を摂取しなかった場合。 |
熱失神 | ・めまい。 ・失神。 ・顔面蒼白。 | 炎天下の野外や高温多湿な室内で長時間の活動した場合。 |
熱射病(日射病) | ・体温が40度以上。 ・汗が出ない。 ・皮膚の乾燥。 ・顔が紅くなる。 ・息が荒くなる。 ・めまいや吐き気。 ・頭痛。 | 炎天下の野外や高温多湿な室内で長時間の活動した場合。 |
中でも、熱射病(日射病)は、症状がひどくなると、意識不明となり、死に至る可能性もあるため、甘く見てはいけない。
また、この4つの症状は、現在、熱中症という一つの言葉に統合されていて、症状別による判断基準が用意されているので、合わせて確認しておこう。
熱中症を判断する基準!
熱中症には、「I~III度分類」という熱中症を早期に発見し、治療するための以下の判定基準がある。
判定 | 症状 |
I度(軽症度) | ・四肢や腹筋の痛みやけいれん。 ・息が荒くなる。 ・顔色が悪くなる。 ・めまい。 |
II度(中等度) | ・頭痛やめまい。 ・強い疲労感や虚脱感。 ・吐き気。 ・失神。 ・血圧の低下。 ・顔面蒼白。 |
III度 (重症度) | ・意識障害。 ・過呼吸。 ・奇妙な行動や言葉。 ・ショック状態。 ・38度以上の高熱。 ・脳や肺や肝臓や腎臓に障害。 |
などの症状が起こる。
中でも、III度 (重傷度)は、脳機能障害だけでなく、臓器障害や血液が凝固していることも多いため、死に至る可能性がとても高くなる。
だから、I度(軽症度)やII度(中等度)の症状の段階で早く発見し、治療することが大事!
もしも、上記の項目に当てはまっていたなら、すぐに治療を開始しよう。
熱中症を治療するための行動
まず、自分自身や他人であっても、「熱中症にかかっているかな?」と感じたら、すぐに治療を開始しないといけない。
そこで、以下の行動の順番を確認しよう。
【熱中症を治療する行動の順番】
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中でも、身体を冷やす場所が重要で「冷えたタオルや飲み物」などを使って、以下の場所を冷やすといい。
【身体を冷やす場所】
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こういった血管の太い場所を中心に冷やすことで、身体の温度を下げていくんだ。
その後、体温の状態が下がってきたら、「缶ジュース」や「スポーツドリンク」などを飲んで「水分補給」と「塩分」をしっかりと摂取しよう。
もしも、意識障害などで水分補給ができない場合は、すぐに病院へ連れていき、連れていけないときは、身体を冷やしながら、救急車が来るのを待つ。
これが、「熱中症治療の最善の対応策」だ。
あと、熱中症で吐いてしまった場合は、必ず、身体を横にして、気道が塞がらないようにしてあげよう。
熱中症の治療後
一度、熱中症になってしまったら、数日の間は、「涼しい場所で安静にすること」が大切だ。
もちろん、熱中症が治ったからといって、翌日に、炎天下での作業や運動は、熱中症が再発しやすくなるので、やめておいた方が良いだろう。
それよりも「一日でも早く体力を戻すこと!」を優先に考え、無理はしないようにすることが大切だ。
これが、熱中症の治療後における大切な考え方なので、しっかりと覚えておこう。
熱中症を甘くみると・・・
熱中症は、「重症になればとても危険な症状なる!」ということを少しは、理解してもらえたのではないだろうか?
もちろん、熱中症が起こる暑い季節は、まだまだ続くので、油断しないよう日々の生活を送っていこう!