外に出れば、シトシトと雨が降り、家の中は、ジメジメで湿気だらけと一年の中で嫌な梅雨の時期がやってきました。
人によっては、何かと憂鬱な時期なわけですが、ここでさらにめまいがするほど憂うつな問題があります。
それは、「シロアリの発生」です!
シロアリの発生で問題になるのが、住んでいる家に使われている木材をムシャムシャと食べ続ける、これが、憂うつな問題なわけです。
もしも、シロアリをそのまま放置しておけば、数十年後には、あなたの住んでいる住宅は、軽い地震でもあっという間に倒壊してしまうかもしれません。
そこで、シロアリの生態や種類とその対策について紹介しよう!
目次
シロアリには4つの階級順位がある!
では、さっそくシロアリの生態について色々と説明していきたいところだが、その前に「シロアリの階級順位」について先に知っておく必要がある。
なので、以下のとおり、まずは、シロアリの階級順位についてサクッと確認してみよう。
【シロアリの階級順位】
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といったシロアリには、「4つの階級順位」が存在する。
そして、それぞれの役割についてまとめると以下のとおりだ。
階級 | 役割 |
王や女王アリ |
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翅(ハネ)アリ |
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兵隊アリ |
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働きアリ |
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といったシロアリの階級順位には、それぞれの役割があり、これらの役割を各自で分担することで任務をやり遂げているのだ。
要するに、シロアリの生態は、ほぼ人間社会と同じ構図で成り立っているとも言える。
さて、そんなシロアリが、役割分担をしてまで果たしたい目的とは、「いったい何なのか?」と言うと、一言でいえば、「自分達の仲間を増やし続けたい」ということ。
そのため、シロアリは、仲間を少しずつ増やしながら一丸となり、この目的を果たすために全力で行動を起こすわけだ。
けれど、その目的を実現するためには、実のところ、理想的な環境や場所が必要になるので、その環境や場所については、次の項目で確認してみよう。
暗くて高温多湿な環境に巣を作り密かに住み始める!
それが、「シロアリという金食い虫のような存在~♪・・・。」と少しミュージカル風で本題から逸れてしまったが、シロアリ達にとって、ユートピアのような環境や場所とは、以下のような住処のことだ。
【シロアリが巣を作る場所】
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このような場所が、シロアリ達にとって、それぞれの役割を最大限に発揮できる環境で、一日でも早くイカレタ野望の実現のために、ひそかに仲間を増やしながらも、急ピッチに活動し続けるわけなのだ。
けれど、巣を作っただけでは、当然、巣の中にいる仲間を増やし続けることはできない。
それは、仲間を増やすために必要な膨大なエネルギー、要するに、多くのエサが必要になるから。
そのため、シロアリ達は、仲間を養い続けることができるエサを獲得するために、大規模な工事をしていくことになるのであった。
エサの場所へたどり着くために専用道路を造る!
シロアリは、自分達の仲間を育て増やし続けるために多くのエネルギーを追い求めるようになり、その目的を成し遂げるための方法として、「蟻道(ありみち)」を造り始める。
蟻道とは、エサの場所まで安心して行ける専用道路のことで、要するに、シロアリだけが通れる専用のトンネルのことだ。
このシロアリが造った蟻道は、土やシロアリの糞(ふん)などの材料で作られていて、地球環境にもしっかりと配慮されている天然使用のトンネルでもある。
さて、そんなシロアリが造る蟻道のメリットは、エサの場所まで安心してたどり着けるだけではなく、以下の効果もあるそうだ。
【蟻道を造るメリット】
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といったメリットがあり、普段から暗くて高温多湿な環境に住み続けている働きアリにとって、エサの場所までスムーズにたどり着ける蟻道は、天国のようなトンネルでもあるのだ。
けれど、このトンネルを作る本当の理由は、シロアリに以下の弱点があるからで・・・。
【シロアリの弱点】
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つまり、蟻道は、シロアリ(働きアリ)が快適に働くためになくてはならない専用道路ということが分かるはずだ。
そして、そんな極上なエサの場所へと続く専用道路を使って、エサを求めるシロアリ達が、どんなエサを食べているのかというと・・・。
木に含まれるセルロースが主食!
シロアリの主食は、木の中に含まれる「セルロース」と呼ばれる栄養素を食べて、エネルギーにすることで、活動している。
ここでセルロースについて簡単に説明すると、植物細胞の細胞壁または植物繊維の主成分で、天然の植物質の1/3を占める地球上で最も多く存在する炭水化物のこと。
もっと具体的なことを言えば、人間の主食に当たる「米」や「パン」などに含まれている炭水化物という栄養素を、代わりにシロアリは、セルロースをエネルギー源にしているというわけだ。
そんなエネルギー源を獲得するために、シロアリ(働きアリ)は、以下の木材が好みらしい。
【シロアリがエサとして好む木材の特徴】
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といった木材がお好みで、これらの木材から漂う微量の誘引物質(油性成分)の匂いがシロアリの惹きつけてやまないのだ。
また、シロアリが好む具体的な木材としては、木の質が柔らかければ柔らかいほどいいということから、松類(トド松を除く。)の木が大がつくほどの好物で、この他にも松類ほどではないが、以下の樹種(じゅしゅ)も好んで食べる。
【シロアリが好む樹種】
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そして、シロアリ(働きアリ)は、これらの樹種を食べる時に木の表面を食べるのでなく、木の中の年輪。
要するに、年輪のセルロースという成分を食べて、エネルギーを獲得している。
けれど、シロアリ(働きアリ)は、噛み砕いて食べた木材を自身で消化することが実のところできない。
それでは、どうやって噛み砕いて食べた木材を消化し、自らのエネルギー源に変換しているのかというと・・・。
シロアリは、腸の中で共生する原生動物(バクテリア)に消化を助けてもらうことで、エネルギーに変換してもらっているのだ。
この変換してもらったエネルギー源を元にシロアリは、エサを得るための活動エネルギーにしたり、また、巣の中でお腹を空かせている仲間にエネルギーを分け与えている。
ちなみに、シロアリは、セルロースという成分が含まれていれば、以下の樹種以外のものもムシャムシャと噛み砕いて食べるそうだ。
【樹種以外でシロアリが食べるもの】
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これらのエネルギー源を獲得することが、シロアリ(働きアリ)に課せられた任務というわけだ。
シロアリの仲間だらけで巣の中は阿鼻叫喚!?
【シロアリの巣の中はもう限界なのか?というお話】 「さて、そんなシロアリ(働きアリ)のおかげにより、順調に仲間を増やし続けたところ・・・。 ここで予想にしなかった大問題が発生!! その大問題とは、巣の中が、満員電車のようにぎゅうぎゅう詰めで、巣の中のいる仲間達が、巣の外にいつ溢れてもおかしくない状況になってしまったのだ。 そこで、シロアリのトップは、この日の為に育ててきた次世代の王と女王候補にすぐさまある任務を言い渡す。 その気になる任務とは、『この巣から出ていき、新たな土地で巣を作り我々の仲間を増やすのだ』と、その命令を聞いた次世代の王と女王達は、ある時期に向けて着々と旅立つ準備を始めるのだった・・・。」 |
どこかで聞いたことのあるようなあらすじで次世代の王と女王達が、古巣(実家)から旅立つために、これから色々と準備をし始めるわけです。
次世代の王と女王達の巣立ちの準備と計画、そして旅立ち!
次世代の王と女王達は、トップ直々の命令に従うため、すぐさま以下の準備に取り掛かり始める。
【次世代の王と女王達がする準備】
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といった巣立ちをするための準備を終えると、次は、巣立ちのために必要な以下の計画を立て始める。
【次世代の王と女王達が立てる計画】
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といった綿密な計画を立てて、来たるべき時期に備える。
こうしてあれやこれやと巣立ちの準備や計画を立てているうちに、巣立ちの時期がやってきました。
翅アリ達の巣立ちの時期は4月~7月の期間!
翅アリ達の巣立ちの期間は、別の場所の巣の中にいる翅アリ達も含めて、ほぼ同じタイミングで巣から飛び出し、そして、スウォームし始めます。
ここで、スウォームについて説明すると、たくさんの翅アリが群れて飛んでいる様子のことで、また、その様子は、「結婚飛行」と呼ばれたりする。
そのスウォームで飛ぶ飛行距離は、「約200m~1000m」と言われ、その範囲内で翅アリ達は、新たな巣を作るための場所、新天地へ降り立つわけです。
さて、そんな新天地に降り立った翅アリ達は、スウォームで使い続けていた翅を落として、やがて、次の行動を起こすようになるわけだが・・・。
新天地に降り立った後にする翅アリ達の行動!
新天地に降り立った後、シロアリ達は、翅を落として、以下の行動をするようになる。
【新天地に降り立った後にするシロアリ達の行動】
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といった一連の行動をして、最終的に巣の中でピラミッド型大家族を形成することを目的にするのだ。
そうやって、巣の中でシロアリの王と王女の役目を立派にこなしながら、じわりと自分達の仲間を着実に増やしていくわけです。
さて、そんなシロアリの生態をある程度理解したところで、シロアリの種類がどのくらい存在しているか知っているだろうか?
もしも、知らないのなら、次の項目で確認してみるといいだろう。
日本に分布するシロアリの種類は約22種類!
日本に分布するシロアリの種類は、実のところ、「約22種類」だと言われている。
中でも、人の住む住宅に潜伏して、柱や床下に使われている木材をムシャムシャと食べて、住宅に被害を与えるシロアリの種類は、主に、以下の3種類であると言われる。
【住宅に被害を与えるシロアリの種類】
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そして、この3種類のシロアリの中で日本の住宅に被害を与える有名なシロアリが以下のとおりだ。
中でも、イエシロアリは、住宅の広範囲にまで被害を与える、かなり厄介なシロアリで、その理由は、以下の能力を持っているからだという。
- 水を運び木材を湿らせて食べる。
つまり、イエシロアリの持つ能力次第では、周囲の湿気や状況に関係なく、家屋全体が倒壊寸前まで全て食い尽くされる危険性のあるシロアリなのだ。
そのため、ヤマトシロアリが生息している地域では、この危険なシロアリから住宅を守るために、「行動をすぐに起こした方がいい!」ということが何となく理解できたのではないだろうか?
さて、そんな住宅に被害を与えるシロアリの種類について色々と説明してきたわけだが、「では、どうすればこのシロアリ達から住宅を守ることができるんだ?」と気になると思うので、次の項目でしっかりと確認しておくといいだろう。
シロアリから住宅を守る上で知っておくべきこととその対策!
ここまで、シロアリの生態や種類、そして、住宅に被害を与えるシロアリについて説明してきた。
ただ、ここからシロアリから住宅を守るために、「実際にどう対策すればいいんだ?」と思うことだろう。
そこで、まずは、以下のシロアリが侵入しやすい環境になっていないか、一つずつ確認してみるといい。
【シロアリが侵入しやすい環境】
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といった侵入しやすい環境に複数当てはまっていれば、その数だけ、シロアリを呼び寄せる確率が高まる。
なので、「当てはまっているな。」と感じたなら、すぐに木材や落ち葉などのシロアリを呼び寄せる原因を取り除いたり、撤去しておくことが大切だ。
続いて、シロアリは、高温多湿な環境を好むので、以下の場所は、特に念入り確認した方がいい。
【シロアリが侵入しやすい場所】
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中でも、風呂場や浴室は、シロアリが最も発生しやすい場所なので、注意しておくといいだろう。
さて、そんなシロアリが侵入しやすい環境や場所を知ったところで、察しのいい人ならどう対策すればよいか分かったのではないだろうか?
ここで分からない人のために、その対策を言ってしまうと、シロアリにとって住みやすい水気のある場所や高温多湿な環境をいかに少なくすることができるかということ。
これが、「シロアリから住宅を守る唯一の対策」なのだ。
けれど、その対策だけでは、「どう実行すればいいのか?」が分からないはずなので、具体的には、以下のようなシロアリ対策を行ってみるといい。
【具体的なシロアリ対策】
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これらの方法が、シロアリから住宅を守る具体的な対策なので、必ずやっておくことだ。
ちなみに、これらの対策だけでは、「少しばかり不十分ではないのか?」と思う人も中にはいるだろうから、シロアリが出やすい床下の点検も合わせてやっておくのも悪くない。
床下点検のポイントは、基本的に以下の2つの点を抑えながら確認してみよう。
【床下点検のポイント】
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といった床下点検では、シロアリが存在するかどうかの判断がすぐにできるので、もしも、余裕があれば、月に1回程度、定期的に点検しておけばより効果が高まるだろう。
翅アリを発見しやすい梅雨の時期は注意しよう!
翅アリを最も発見しやすい時期は、「雨が降りやすい湿気でジメジメした梅雨の季節だ」と言われている。
なので、この時期がやって来る前にしっかりとシロアリ対策をやっておこう!