初詣の由来を知ってから神社や寺へお参りしに行こう!


年が明けて今年もお正月による恒例の行事の一つ初詣がやってきた。

そんな初詣でやってしまいがちなのが、おみくじを引いたり、絵馬を書いたり、露店で食べ物を買ったりとついつい楽しんでしまう。

中には、「初詣ってそもそも何だい?」と疑問に思っている人もいるだろうから軽く説明すると、年の始めに神社やお寺にお参りすることで、神様やご先祖様に感謝や報告、時には願い事をするお参りのことだ。

そして、初詣には、「昔から色々な由来がある!」と言われている行事でもあるのだ。

そこで、そんな謎多き、初詣の由来などについていくつか紹介していこう!







初詣の由来は三つある!

では、さっそく初詣の由来について紹介していきたところだが、その前に先に言っておかなければならない点が一つだけある。

それは、初詣には、いくつもの由来があり、「これが初詣の由来である!」と確信を持って言い切れない点があるのだ。

そのため、初詣の由来は、本当かどうか分からない前提で進むが、中には、「これが、初詣の由来ではないか?」という以下の三つの由来を紹介する。

【初詣の三つの由来】
  • 社に籠り神前で祈り続ける!(年籠り。)
  • その年の縁起の良い方角の神社を参拝する!(恵方詣。)
  • 神社と寺や鉄道会社が結託して生み出した!

といった初詣には、三つの由来があるので、詳しくは、次の項目を読んでいこう。

社に籠り神前で祈り続ける!

一つ目の初詣の由来に「年籠り」という説がある。

具体的には、以下のとおりなので、まずは確認してみよう。

年籠り【時期】
  • 江戸時代中期。
【方法】
  • 一家の家の長が、大晦日の夜から年明けの朝にかけ氏神様や産土神様の杜に籠る。
【目的】
  • 神前で家内安全と無病息災などを祈る。
【その後】
  • 除夜詣。(大晦日の夜)。
  • 元日詣。(元日の朝)。

といった感じで年籠りは、神社に籠り祈りながら、新年を迎えていたという。

そして、除夜詣と元日詣の二つに分かれ、その後、元日詣だけが残り、これが、「初詣の由来ではないか?」と言われているのだ。

ちなみに年籠りは、「二年参り」によく似ている。

二年参りとは、その年の除夜の日に神社や寺を参拝して一度、家に帰って、翌年の元旦の日に再び、参拝するやり方で、こうしたところからも初詣の行事に少しずつ組み込まれていったのだと考えられる。

もちろん、初詣の由来については、あと二つあるので、続いて他の由来についても見ていこう。

その年の縁起の良い方角の神社を参拝する!

次に二つ目の初詣の由来に「恵方詣(えほうもうで)」という説がある。

こちらも具体的なことについては、以下のとおりなので、確認してみよう。

恵方詣【時期】
  • 江戸時代。
【方法】
  • その年の1月1日に正月の神様(歳神様)の宿る神社や寺を参拝。
  • 新年に今年の縁起の良い方角にある神社に参拝。
【目的】
  • 1年の安全と無事や幸福を祈る。
  • 歳神様から福を与えてもらえるという考え。
【歳神様の滞在日】
  • 1月7日まで。
  • 1月15日まで。(地方による。)

といった感じで恵方詣は、その年の縁起が良いとされる方角の神社や寺をお参りしていたのだという。

ちなみに節分の日で食べる恵方巻は、この恵方詣の縁起の良い方角を向くという部分が取り入れられていたりするので、覚えておくといい。

続いて、三つ目の初詣の由来についても読んでみよう。

神社や寺と鉄道会社が結託して生み出した!

三つ目の初詣の由来に神社や寺と鉄道会社が結託して生み出したという説がある。

これは、明治時代の頃、鉄道会社が、各地の沿線に遊園地などの人の集客を見込める箱物(建物)を作り、人を集客して儲けていたのだが、どうしてもある期間だけ集客できない期間があった。

そして、その集客できないある期間が、「正月の期間」で、この期間だけは、鉄道会社も人を集客することにとても苦労していたというのだ。

そのため、鉄道会社は、時を同じくして集客の面で悩んでいた神社や寺にある提案を持ちかけた。

それは、神社や寺の近くに鉄道を通すことで、「鉄道会社の利用客と神社や寺の参拝客を増やさないか?」という双方にとって有益な提案であった。

そんな提案を受けた神社と寺は、喜んでその提案に乗り、正月の期間、家の中で静かに過ごしていた人達を引っ張り出し、双方の集客を見事に増やしたというわけだ。

中でも、この提案により上手くいったのが、以下の有名な鉄道会社だった。

京浜急行電鉄【前身】
  • 大師電気鉄道株式会社。
【目的】
  • 川崎大師への参拝客輸送を目的。
  • 鶴見総持寺や川崎大師を巡る二所参りを宣伝。
【その後】
  • 国に接収され、戦後は穴守稲荷と川崎大師に改められた。

こうして双方にとって有益な提案は、各地で広がりをみせていき、また、その積み重ねによって、初詣を行事として定着するようになっていった。

ちなみに、各地域の初詣の広がりは、以下のような感じで行われていった。

【各地域の初詣の広がり】
参宮鉄道
  • 参拝客を伊勢神宮へと運ぶため。
高野鉄道
  • 高野山参詣のため。
阪神電車
  • 西宮神社のため。
大阪環状線
  • 沿線の神社を恵方参りとして宣伝。
成田鉄道
  • 参拝客を成田山新勝寺まで運ぶため。

といった初詣が全国に広がっていったのだ。

また、こういった経緯からいつの間にか初詣をする人達も年々増えていったという。

【初詣をする人達が増えていった流れ】
  1. 終電車で現地に行き新年を待つ人。
  2. 1の人ために鉄道が終夜営業を始める。
  3. 2の宣伝をして「大晦日からお参りをしよう!」と呼びかける。(二年参りと宣伝。)

といった流れから現在の初詣が徐々に形成されていき、初詣が行事として醸成されていった。

つまり、明治時代以降では、近くの神社や縁起の良い方角にある神社へお参りするのではなく、「有名な神社へ参拝しよう!」という流れがいつしか作られていった行事とも言えるのだ。

さらに大正時代には、いつしか有名な寺にも初詣としてお参りするようになり、初詣でも寺へと参拝するようになっていったのである。

さて、ここまで、そんな初詣の由来を知り理解したところで、「それじゃあ、神社や寺のどちらにお参りすればいいんだ?」と疑問に思うはずだ。

なので、次の項目を読んでおこう。

初詣は神社や寺どちらにお参りすればいいか?

初詣の日、「神社や寺どちらにお参りすればいいか?」と悩んでいる人もいるだろう。

そういった場合は、神社と寺の特徴や行事を先に知る必要があるので、以下のとおり見ておくといい。

【神社の特徴や行事】
  • 日本神話を基盤。
  • 神主や宮司や巫女や神官。
  • 神道。(日本固有の宗教。)
  • 神道施設。
  • 祝詞や拍手。
  • 玉串料。
  • 鳥居や狛犬や御神木、神門、社務所、垣、祓殿、神楽殿、絵馬、おみくじなどがある。
  • 八百万の神様を祀る。
  • 夏祭りや結婚式(神前式)。
  • 大晦日や正月や初詣。
  • 他界すると神葬祭(しんそうさい)を行い、霊璽(れいじ)をまつり、仏壇ではなく御霊屋(みたまや)に拝礼。
  • 十日祭、五十日祭、一年祭、十年祭などの祭を神式で行う。
  • 神様に頼み事や日本古来の神を祀る場所。
  • 社、大社、〇〇神宮、〇〇天満宮、〇〇八幡宮、〇〇宮など。

といった神社の特徴や行事があり、続いて寺の特徴や行事は、以下のとおりだ。

【寺の特徴や行事】
  • 僧侶や尼僧や住職。
  • 仏教。(外国の宗教。)
  • 仏教の宗教施設。
  • 念仏やお経や線香を上げる。
  • 合唱や位牌。
  • 仏壇に礼拝や法要を行う。(初七日、四十九日、一年忌、三年忌など。)
  • 仏(仏陀、如来、菩薩、観音、不動明王など。)や護摩法神(牛頭天王、弁財天、八大竜王=黒竜王=九頭竜、白龍など。)や高僧を祀る。
  • お盆や葬式。
  • 先祖代々の供養をする場所。
  • 〇〇院、〇〇庵、〇〇坊、〇〇寺など。

といった寺の特徴や行事などがある。

ここで、これらの神社や寺の特徴や行事を踏まえた上で、「さて、どちらへお参りしようか?」と迷うところだが、実のところ、どちらへお参りしても特に問題がない。

ただし、初詣自体は、神道由来の行事のため、もしも、お参りするのなら、神社へ参拝するのが賢明だろう。

ちなみに先ほどどちらへお参りしても問題がないとした理由には、以下のわけがある。

  • 明治時代まで神仏習合が続いていたから。

神仏習合とは、簡単に言えば、神様も仏様も同じ存在という考えで、神社と寺がいつの間にか同じ敷地内で共存していた状態のことをいう。

なので、「神社や寺のどちらにお参りしようか?」と悩む原因には、こういった背景があるのかもしれない。

神仏分離令によりさらにカオスな状態になる!

明治時代になると、そんな寺や神社の混合状態を解消するために、明治政府は、神仏分離令を行い、神仏習合を失くそうと試みたことがあった。

だが、この神仏分離令により、以下のことが起こるようになってしまったという。

【神仏分離令により起こったこと】
  1. 寺の打ち壊しが行われるようになった。
  2. 寺の打ち壊しをされたくなくて仏像を撤去。
  3. 仏像を撤去後、神社に鞍替えする。

といったことが起こるようになり、神社や寺を区別するどころかより混合した状態、つまり、以下のようなカオスな状態になってしまったのだ。

【神社や寺の混合によるカオス状態】
  • 神社に仏像がある。
  • 神社に坊さんがいる。
  • 寺の境内に鳥居がある。

といったカオス状態から、傍から見て、「寺なのかそれとも神社なのか?」を外観的な建物や構造から判断することができなくなってしまったというのだ。

なので、もしも、そういった神社や寺を見かけた場合は、神社や寺を管理している神主や僧侶に一度、聞いて確認してみるといい。

きっと、どちらなのかを答えてくれるはずだ。

初詣の由来を知ったらお参りに行ってみよう!

初詣は、実のところ、「この他にも由来がある!」と言われるほど奥深さのある、スルメみたいな行事だ。

なので、自分なりに初詣の由来について理解を深めることができれば、新たな初詣の一面を知ることができるかもしれない。

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